こんにちは。株式会社PADDLE代表取締役の田中です。
厳しい夏の暑さも終わりを迎え、朝や夜は肌寒さすら感じる季節になりました。
皆さま、くれぐれもお身体にはご自愛ください。
さて、最近ありがたいことに、事業者様の積極的な設備投資として、工場や本社社屋の移転・新設プロジェクトに関わらせていただく機会が増えてきました。
数千万~数億円規模の一大プロジェクトであるため、事業者様におかれましては金融機関も交えながら、緻密に事業計画や資金調達計画の策定、実行に鋭意努力されていますし、私も金融機関時代に得られた知見を惜しむことなく、ご支援に活かしております。
このような大規模設備投資案件に、必ずと言っていいほど活用できる税制優遇制度や補助金、助成金などの金融支援制度があることを、ご存じでしょうか?
後にご紹介する各制度の併用は認められており、組み合わせによっては総額数千万円のメリットを事業者側が享受できるものですが、実は意外と知られていないのです。
目下、大規模な設備投資を控えている事業者様、今すぐこの記事をご一読のうえ、他社と情報の差をつけ、設備投資をコスト優位に進めましょう!
前置きが長いことと紹介する制度の文量が多いので、その1からその3までの3部構成とさせていただきます。どの制度も非常に有益なので、最後までお付き合いください。
目次
1.国(経済産業省)の制度を活用した税制優遇、金融支援制度
① 地域経済牽引計画
現在日本では、「地域の特性を生かして、高い付加価値を創出し、地域の他の事業者に対して経済波及効果をもたらす」事業者を大募集しています。
端的にいえば、都道府県や市町村が「地域の特性を生かした産業を集めて地域を活性化させたい!貢献してくれる事業者にはそれなりの優遇をします!」ということです。
工場や流通加工施設を建設したり機械等を取得したりする際に、都道府県・市町村が策定した「基本計画」をもとに事業者が「地域経済牽引計画」を策定し、管轄の都道府県知事が承認することで、以下の支援を受けられます(紹介する支援措置はほんの一部です)。
▶ 日本政策金融公庫からの固定金利での融資(金利引下げ)
出典:経済産業省ホームページより引用
工場や流通加工施設などを建設するうえで、資金をどこから調達すればいいのか頭を悩ませる社長様が多いのではないでしょうか。複数の金融機関で融資を受けるにも話が進まない、うまくいかない等、多くのご相談が寄せられます。そんなときに、活用できるのがこの制度です。地域経済牽引計画の承認はいわば、都道府県のお墨付きを受けた事業計画ということです。比較的、民間金融機関や日本政策金融公庫の受けはよく、前向きに審査をしていただけることが多いです。(※融資が保証されるわけではありません)
更に、貸付利率の優遇(基準金利より最大0.9%引下げ)が受けられるため、金利上昇局面の今、事業者様の不安を払しょくできる有意義な制度ではないでしょうか。
② 地域未来投資促進税制
前項で作成した地域経済牽引計画を、都道府県知事の承認を受けたのちに国(主務大臣)による課税特例の確認を受けると、以下の税制優遇を受けることができます。
建物・機械等の設備投資を行う場合
▶ 法人税の特別償却(最大50%)
もしくは
▶ 税額控除(最大6%)※その事業年度の法人税額等の20%相当額が限度
出典:経済産業省ホームページをもとに作成
上記優遇措置を受けるためには、ほかにも細かい要件がありますが、
例えば、機械装置で10億円の設備投資を行う際に、
上記「地域未来投資促進税制」の要件をすべて満たしている場合、
- ▶ 法人税の特別償却であれば、5億円の特別償却(損金算入)による利益圧縮
- ▶ 税額控除であれば、6,000万円を支払う税金から控除
することができる可能性があります。
注意点として、
国(主務大臣)による課税特例の確認を受ける前に取得した設備は本税制措置の対象外となってしまうことに加え、主務大臣の確認日は年度で5回程度しかないため、建物建築もしくは設備導入スケジュールに、本計画申請スケジュールを織り込んだうえで対応することが必須となります。
2.おわりに
いかがでしたでしょうか。3部構成の初回「その1」では国の制度を活用した税制優遇、金融支援制度をご紹介させていただきました。
「その1」だけでも事業者様に多くのメリットがある制度をご紹介できたかと思います。その反面、地域経済牽引計画の策定はかなりの労力を要しますし、スケジュール管理も煩雑です。また、「その2」以降の記事でご紹介する制度も組み合わせて活用するとなると、事業者様ご自身で申請・管理するのは至難の業かと思います。
最適な補助金の提案や公的制度にかかる申請支援サポートについて、幅広い業種への理解と、申請書作成におけるノウハウ・経験に裏付けられた高い採択率を誇る弊社にお任せください。少しでもお役に立てるよう、尽力いたします。
次回のブログでは「都道府県・市町村の制度を活用した補助金、助成金」について取り上げます。ご期待くださいませ。